山東京伝
Santohkyoden
江戸の戯作者・山東京伝が創作した
洒落の小紋、遊びの小紋を
おたのしみください
山東京伝
Santohkyoden
洒落の小紋、遊びの小紋を
おたのしみください
解説
江戸時代後期の戯作者(げさくしゃ)である山東京伝が現した絵手本「小紋雅話(こもんがわ)」は洒落の小紋文様で溢れています。
一説には写楽(しゃらく)ではと云われる京伝は、文学者としての天性と絵師としての才能を併せ持った江戸時代屈指の人物で、当時の世相を江戸小紋の文様に表現して江戸の町民の喝采を浴びました。その遊びの小紋を江戸の通人は紺屋(こうや)に染めさせ楽しんだと伝えられています
小紋一覧
全12件
雪の足
ゆきのあし
- 読み下し
- 地白に白あがりに染めてよし
- 解説
- 雪の降った朝、二の字に見えるのは下駄の跡、花にも見えるのは犬の足跡。 白地に柄白では文様が見えないので、少々の色つきはご容赦を。
口々小紋
くちくちこもん
- 読み下し
- 一名畜類小紋。男「もっとこっちへ寄りや」。女「主はネギを食いなんしたか、いっそう口がくさい」
- 解説
- キスの習慣は江戸時代からあったよう。 「畜類」は仲のよい男女をやきもち半分にけなして言う言葉。 当時でも口の臭い男性はもてなかったのだろうか。
苞玉子
つとたまご
- 読み下し
- きのう田舎から貰いやしたんが、少しながらお裾分けいたします。
- 解説
- パックのなど無い時代、貴重な玉子を持ち運ぶため一個ずつ縦に並べて藁で棒状に包んでいた。 それが「苞(つと)」。当時流行っていた「立涌」柄を日常生活の中に見いだしている。
芝居の雪
しばいのゆき
- 読み下し
- えて嫌がる人の上へ降りたがる根性の悪き雪なり
- 解説
- 芝居で降らす雪は三角形に切った薄紙。得てして嫌がるお客の髪の毛あたりに降り積もる根性の悪い雪。
まいまい巴
まいまいともえ
- 読み下し
- 一名賄つぶれと言いて、ひと頃ことのほか流行りし模様なれども、今は廃れたり
- 解説
- 蝸牛の別名は「まいまい」、賄(まいない)は賄賂。この二つを掛けている。 「小紋雅話」が出版されたのは賄賂政治が横行したすぐ後の時代。 風刺をしながら「今は廃れたり」とは、賄政治で有名な老中田沼意次が数年前に失脚したことを言っているのであろう。
児びたい
ちごびたい
- 解説
- 稚児は公家と同じような化粧を施し、眉を剃って眉墨で眉を描く。 また、神社に奉納する絵馬にも見える。 縦方向に平行に描かれた模様が斜めに見える錯覚効果も。
焼き飯鱗
やきめしうろこ
- モチーフ
- 地(じ)、焦げ茶に染めてよし
- 解説
- 金網に乗った三角形のにぎり飯を「鱗」に見立てた洒落の吉祥文様です。 (※見立て…一見無関係なものに類似点を見つけなぞらえること)
本田鶴
honndaturu
- 読み下し
- 一名(いちめい)、通の丸(つうのまる)とも
- 解説
- 通人(つうじん)(※遊び人)の髷(まげ)「本田髷」を上から見ると「通」に通じる「鶴(つう・つる)」に見えます。
鰻つなぎ
うなぎつなぎ
- 読み下し
- うらみつらみの地口(じぐち)のようだ 腎虚(じんきょ)した人、この裂(きれ)を褌(ふんどし)にして妙(みょう)なり
- 解説
- 元気の源・鰻を身につける柄、蒲焼きを「串」の字にも見立てています。
面の皮梅
つらのかわうめ
- 読み下し
- 一名(いちめい)光琳のお多福 地、甘酒色(あまざけいろ)に染めてよし
- 解説
- 光琳模様の光琳梅(こうりんうめ)の花びらを四弁にして目鼻をつければお多福になります。
いとし藤
いとしふじ
- 読み下し
- 慶子案(けいしあん)
- 解説
- 「い」の字を十「し」の字を蔦のように伸ばして重ねた「愛しい藤」です。
めくり襲ね
めくりかさね
- 読み下し
- この裂(きれ)、今は絶えて一切なし アァ憑かぬ つかぬ、座替えでもしてみよう
- 解説
- 裃(かみしも)に用いる青海波文様を、当時既に絶えていた天正カルタで現しています。